刑事事件と少年事件
成人が起した刑事事件は、通常の裁判所における刑事裁判の対象となりますが、少年(20歳未満)が起した事件(少年事件)については、原則として家庭裁判所における少年審判の対象となります。
刑事事件の手続きの流れ(逮捕~第1審判決まで)

1.起訴前段階
刑事事件で逮捕されると、被疑者(犯罪を犯したと疑われている人)は、警察の留置場などで身柄を拘束され、その後、最大で20日間の勾留をされて、捜査の対象となります。警察は、被疑者を取り調べる、証拠を捜すなどの捜査をした上で事件を検察官に送り、検察官も被疑者の取り調べなどの捜査をします。
勾留期間内に、検察官は、捜査の結果を踏まえて、被疑者を裁判所に起訴するか、不起訴とするかを決定します。不起訴になれば、被疑者の身柄は釈放となりますし、軽微な事案では、書面審理で罰金を科す略式命令の請求をされることでも(略式起訴)、釈放となります。
2.起訴後段階
起訴(公判請求)されると、被告人(起訴された後は、被疑者ではなく、被告人と呼ばれます。)は、身柄が拘束されたまま(起訴後勾留)、以後裁判所による審理を受けることになりますが、保釈が認められれば、判決までの間、暫定的に身柄が釈放されます。なお、起訴前には、保釈制度はありません。
裁判所は、起訴された事実について審理を行い、有罪か無罪かの判決をします。有罪の場合は懲役、禁錮、罰金などの刑が宣告されますが、その場合でも、被告人に酌むべき事情があって執行猶予が付されれば、釈放となります。
弁護活動の具体的内容
刑事事件の弁護をご依頼いただいた場合、弁護士が行う具体的な弁護活動は、通常、以下のような内容となります。なお、刑事事件には、被疑者・被告人自ら罪を認めている事件(自白事件)と、無実を主張する事件(否認事件)があり、前者の場合は、できる限り軽い処分を得ようとする活動が中心となるのに対し、後者の場合は、被疑者・被告人の無罪を立証するための活動が中心となります。以下は、主として自白事件を想定した弁護活動のご説明です。
1.起訴されるまで(起訴前弁護)
1: 被疑者との接見(面会)
逮捕されてしまった被疑者は、身柄を拘束された状態で、連日、警察の厳しい取調べを受けるのが通常です。十分な法律的知識もなく、今後の見通しさえ分からない状態では、不安のあまり、警察官の言うがままに、真実ではない供述調書を取られてしまう危険もあります。弁護士は、被疑者に対して正確な法的知識と取調べの際の対応等についてのアドバイスを行い、また、特に接見禁止が付されて家族と面会できない被疑者に対しては、家族との連絡役になって被疑者の不安を解消させることも可能です。
2: 担当刑事、検察官への連絡
事件の概要、捜査の状況、被害者の意向、処分の見込み等について情報を収集します。
3: 身柄釈放のための活動
被疑者に有利な事情を収集した上で、逮捕段階では勾留されないための活動、勾留後は、勾留延長されないための活動、公判請求されないための活動を行います。
4: 示談交渉
被害者が存在する事件については、被害者との示談交渉は、最も重要な弁護活動の一つです。早期の釈放や、不起訴の実現のためには、示談の成立は非常に大きな意味を持ちます。
2.起訴されてから(起訴後弁護)
1: 保釈の実現
保釈は、被告人が逃亡したり証拠を隠滅したりする恐れがないと裁判所が認めたときにはじめて許可されるのであり、どんな事案でも簡単に認められるわけではありません。そこで、弁護人は、逃亡したり、証拠隠滅したりする恐れがないことや、その他保釈を認める必要性があることなどを裁判所に対して具体的に主張していくことになります。 なお、保釈には、相当額の保釈金が必要ですが、原則として、判決後に全額返還されます。
2: 示談交渉
示談が成立すれば、判決の際に、被告人にとって有利な事情として考慮されますので、被害者がいる事件については、起訴後においても、示談交渉は重要です。
3: 被告人に有利な事情の立証
裁判の際に、被告人に有利な事情をできる限り立証します。事案にもよりますが、代表的な事項としては、犯行動機が同情的なものであること、犯行態様が偶発的であること、共犯者に対して従属的な立場にあること、被害結果がない(軽微である)こと、犯行による利得がない(少ない)こと、示談成立又は被害弁償がなされていること、被害回復の努力をしていること、被告人が反省していること、社会的制裁を受けていること、近親者による指導監督がなされること、扶養すべき家族を有していること、前科前歴がないことなどを立証していくことになります。
少年事件
少年事件の手続の概略は、以下のとおりですが、成人の刑事事件との主な違いは、全件が家庭裁判所に送致されること、身柄拘束の場所が少年鑑別所となること、審判による処分として、不処分、保護処分、検察官送致等が予定されていることなどです。 少年事件については、少年が精神的に未熟、不安定であり、いまだ人格の発展途上にあることから、成人の場合と異なり、教育的な視点から処遇を行うことが必要であり、少年審判は、まさにそのような観点から行われます。

少年事件における弁護活動(付添人活動)
成人の場合と同様、少年との接見、関係機関からの情報収集、身柄釈放のための活動、示談交渉等が主な活動になりますが、少年の場合は、いまだ未成熟なために捜査機関の誘導に乗りやすく、不本意な自白を迫られる危険性が高いため、弁護士によるアドバイスは特に重要です。また、少年は、環境による影響を受けやすいため、保護者の方々や家庭裁判所調査官等と連携の上、できる限り、その生育環境を改善し(環境調整)、これを少年に有利な事情としてを審判に上程することも重要な活動となります。
















